[東京 8日 ロイター] トヨタ自動車(7203.T)は8日、2011年3月期の連結営業利益(米国会計基準)予想を従来の3800億円から5500億円に45%上方修正すると発表した。
日本、アジア、ロシアなどで販売台数が従来予想を上回るほか、原価改善や固定費の抑制の成果が目標よりも進展する。
来期についても「為替や原材料の高騰など相当な変動がないかぎり、そこそこの決算ができる」(伊地知隆彦専務)としている。
トヨタが通期予想を上方修正したのは今年度2回目。修正後の営業利益予想は前年比3.7倍となり、トムソン・ロイター・エスティメーツによる主要アナリスト23人の予測平均値4885億円を12.5%上回っている。
業績の上方修正と合わせて、11年3月期の四輪車世界販売台数見通しも従来の741万台から7万台増の748万台に引き上げた。日本はエコカー補助金制度の終了で厳しい環境にあるが、新型車の投入などで販売増に努める。アジアではインドで発売した低価格車「エティオス」が好調に推移している。
今年1月以降の想定為替レートは1ドル=82円、1ユーロ=110円に設定。通期平均で1ドル=86円(前回予想は85円)、1ユーロ=112円(同112円)とした。
通期の売上高見通しは前回予想比1.1%増の19兆2000億円(前年実績比1.3%増)、当期利益見通しは同40.0%増の4900億円(同2.3倍)にそれぞれ引き上げた。
<収益体質は回復基調に>
同社は期初に、為替が1ドル=90円で年間販売700万台でも利益の出る体質を目指す方針を明らかにしていた。伊地知専務は「損益分岐点が確実に下がり、為替が1ドル=86円、販売台数750万台で5500億円の営業利益を出せるようになった」とし、収益体質が確実に回復基調へ向かっていると評価した。
ちばぎんアセットマネジメントの調査部長、奥村義弘氏は「研究開発費の削減や原価改善など合理化努力が実を結んでおり、ポジティブに捉えている。世界販売台数を前回の741万台から748万台に修正したことも評価できる」とコメント。野村証券金融経済研究所のシニアアナリスト、桾本将隆氏も「思った以上に費用の削減が進んでいる」としつつ、設備投資や研究開発費の削減が「今後の新車計画に影響してこないか見極めたい」と語った。
一方、RCMジャパン チーフ・インベストメント・オフィサーの寺尾和之氏は「市場コンセンサスより若干強いが、驚きはない。国内でのエクスポージャーが高い点とアメリカでのシェア低下が、投資家の信認が高まらない理由になっている」と指摘している。
<10年4─12月期はアジア、中南米などで販売好調>
10年4―12月の連結営業利益は、前年同期比8.1倍の4221億円に拡大した。通期予想に対する進ちょく率は76.7%。第2・四半期決算発表時に公表した通期営業利益見通し3800億円を3カ月前倒しでクリアした。同期間の世界販売台数は前年同期比6.2%増の551万7000台。
伊地知専務によると「タイでの販売が好調に推移しており、中南米、オセアニア、アフリカについても高い収益レベルを維持している」という。
(ロイターニュース 杉山健太郎、取材協力 浦中大我、杉山容俊;編集 田中志保)
*会見の内容を加えて再構成しました。