自動車の業界団体が1日まとめた5月の新車販売台数(速報値、軽自動車含む)は、前年同月比33.4%減の23万7364台となった。東日本大震災による生産減で5月としては過去最低の水準。ただ減少率では4月の47.3%と比べ大幅に改善している。自動車大手各社は生産の回復を前倒ししており、今後は販売でも震災前の水準に近づく可能性が高い。
5月の販売としては第1次石油危機直後の1974年(約26万台)を下回り過去最低。サプライチェーン(調達網)が寸断されたため4~5月に国内の自動車生産が急減。販売店は「納期が読めない」(日産自動車系販売店)状況が続いた。
一般車の「登録車」では37.8%減の14万2154台。メーカー別ではトヨタ自動車(レクサス除く)が56.6%減と大幅減。スズキは新型車「ソリオ」が増えて27.3%増。富士重工業(スバル)は「輸出分を国内販売に配分して受注残の解消を急いだ」(同社)ことで17.7%増と2カ月ぶりにプラスとなった。
ホンダは34.5%減。軽自動車の落ち込みが大きく、軽を含む総販売では4月の3位から5位に後退した。
都道府県別の販売を開示している軽自動車では、宮城県が26.2%増となり、全国で唯一のプラスとなった。「メーカー各社が(復興支援のため)優先的に車両を供給しているため」(全国軽自動車協会連合会)とみられる。全体では25.4%減の9万5210台。
6月以降は日産自動車やトヨタ自動車が生産水準を引き上げ、ほぼ前年並みに回復する。「車種やオプションにもよるが納期は着実に早まっている」(都内の日産系販売店)。日本自動車販売協会連合会は新車の販売状況について「消費マインドが若干落ち込んでいる」と危惧するが「(販売減の)最大の要因はやはり生産の落ち込み」と見ている。メーカー各社が早期の生産復旧を果たすことで、6月以降に販売が好転する可能性が高い。