財務省が21日発表した貿易統計によると、6月の貿易収支(速報、通関ベース)は707億円の黒字だった。中国向け軽油や、欧米向けマシニングセンターなど金属加工機械の輸出が増えたほか、自動車輸出の落ち込み幅が縮小したことも寄与した。前年同月の6705億円から89.5%減となったが、3カ月ぶりに黒字を確保。東日本大震災で被害を受けたサプライチェーン(供給網)が、少しずつ回復している姿が見て取れる。
輸出額は4カ月連続で減少したが、前年同月比1.6%減の5兆7759億円と落ち込み幅は小幅にとどまった。米国向け建設・鉱山用機械なども増えたほか、自動車の輸出落ち込み幅は12.5%減と、4月の67.0%減、5月の38.9%減から減少幅が縮小している。
東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、電力各社が液化天然ガス(LNG)の輸入などを増やしているため、輸入額は9.8%増の5兆7052億円と、18カ月連続で増加した。数量ベースで輸出は2.6%減の102.7、輸入は1.7%増の101.9だった。
輸出額は季節調整して前月と比べると5.4%増、輸入額は同0.5%増。貿易赤字額は同57.5%減少した。
財務省は輸出動向に関し「軽油はブレの大きい品目だが、自動車など一部で持ち直しの動きが出ている」と前向きな評価。「供給網の立て直しで生産活動の回復が見込まれるものの、電力の使用制限など景気の下振れリスクがあり、注視する必要がある」としている。
1~6月期は8955億円の赤字、4~6月期は1兆2527億円の赤字だった。〔日経QUICKニュース〕