日経トレンディ

 日経トレンディ2011年10月号(2011年9月3日発売)では「エコカー総選挙」と題し、激変したクルマ選びを総点検する特集を掲載している。この特集のために行ったのが、クルマ業界の500人が最強のエコカーを選ぶ投票だ。

 エコカーの勢力図に大異変が起きている。これまでの主役だったハイブリッド車(HV)に対し、安くて低燃費の新世代ガソリン車の「逆襲」が始まった――。 

 「日経トレンディ」と、自動車業界の調査・研究を行う住商アビーム自動車総合研究所は、自動車メーカーやディーラー、サプライヤーなどの500人以上を対象にアンケートを実施。今、自動車業界の関係者が推すエコカーはどれか、本邦初の「エコカー総選挙」を行ったところ、こんな傾向が明らかになった。

 今回ノミネートしたのは、低燃費ガソリン車とハイブリッド車の計24台。そのなかで自動車業界に関わるビジネスマンからの圧倒的な支持を集めたのが、「デミオ 13-SKYACTIV」(マツダ)だった。2位には、エコカーの代名詞ともいえる「プリウス」(トヨタ自動車)が入ったが、3位には再び低燃費ガソリン車がランクイン。ダイハツ工業が9月中に発売する新型軽自動車「イース(仮称)」だ。

業界の500人が投票! 今注目のクルマは?
【調査方法】自動車業界のコンサルティングや調査・研究を行う、住商アビーム自動車総合研究所と編集部が共同で調査。メールマガジン「住商アビーム Auto Business Insight」で、自動車・部品メーカー、ディーラーなどに勤務する人を対象にアンケートを行った。燃費や販売台数などの条件で候補の24台を選出。アンケートは低燃費ガソリン車12台(回答数544人)とHV12台(同405人)から、各1台を選ぶ形式。HVへの票数は比重を1.34倍(544÷405)にした。表中の燃費は10・15モードを掲載
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 デミオやイースの評価が高かったのは、「複雑で高価なハイブリッド車に比べて、シンプルで安価」「既存の技術の改善だけで同等の燃費を得ている」といった理由から。他にも、エンジンの小排気量化に取り組むフィアット「フィアット 500 ツインエア」やフォルクスワーゲン「ポロ TSI コンフォートライン」などの小型輸入車も多くの支持を集めた。これら低燃費ガソリン車には、「今後、ハイブリッドシステムを組み合わせることで、既存のハイブリッド車よりさらに低燃費化が期待できる」という声も多かった。

“第3のエコカー”現る

【1位】デミオ 13-SKYACTIV
【業界人の目】●HVのように複雑で、かつ車体が重くて高価なシステムに比べて、既存技術を改善して同等の燃費を得ているデミオは、今のユーザーニーズにマッチしている●今後、SKYACTIV技術をベースにしてHVシステムを組み合わせると、都市部でのさらなる低燃費化が期待できる。(写真左)右側が新型モデル。(写真右)圧縮比を大幅に上げた新開発の直噴エンジン
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【3位】イース
【業界人の目】●価格アップしたデミオと異なり、むしろ価格を下げて低燃費を実現。この技術は登録車にも展開されるはず●軽量の剛性ボディによる燃費向上策は、他社にも浸透しそう●燃費の良さと価格の安さで、新興国市場でも受け入れられる。(写真)イースは4人乗りの汎用的なパッケージ。期待の一台だ
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ダウンサイズ! 小型輸入車

【10位】フィアット500 ツインエア
【業界人の目】●2気筒エンジンの採用といった「割り切り」コンセプトに好感が持てる●日本のモード燃費と実燃費の乖離を再認識するきっかけになる。(写真)フィアット500 ツインエアの2気筒エンジンは、出力が同じ4気筒エンジンに比べて10%も軽い
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【10位】ポロ TSI コンフォートライン
【業界人の目】●エンジンの燃費向上を図る姿勢が良い。実燃費はHVと大差ない●走りを犠牲にせず、小さなエンジンで低燃費を狙う方向性を評価する。(写真)ポロはエコカー減税の対象車となり、さらに人気に
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 アンケートでは、10年後にシェアが高まるエコカーの種類についても聞いた。こちらは、家庭用電源で充電できる「プラグインハイブリッド車(PHV)」が、業界関係者の支持を最も集めた。一定距離を電気自動車としてモーターを使って走行でき、その後もハイブリッド車として走り続けられる利便性の高さや、家庭電源のバックアップ機能が期待されている。2011年度中にトヨタが「プリウス プラグインハイブリッド」を市販するのを皮切りに、スズキやホンダ、三菱自動車などが相次いで投入する予定だ。

 今クルマを乗り換えるなら、どのエコカーにすべきか。そして、すぐに乗り換えない場合でも、今後10年後の技術動向を見据えてどのエコカーにターゲットを据えるか。日経トレンディ10月号(9月3日発売)では、デミオ VS フィット ハイブリッドの燃費限界テストや、「プリウスα」「フィット シャトル ハイブリッド」といった売れ筋モデルの燃費性能とランニングコストを徹底検証。さらに燃費40km/Lを上回る“超低燃費ハイブリッド車”「プリウスC(仮称)」の速報も盛り込んだ。一方で、「クルマはたまに乗れればいい」という人が多いのも事実。そこで「脱マイカー生活」の秘策も探し当てた。

(文/勝俣哲生=日経トレンディ)


「日経トレンディ」10月号のご案内
【第1特集】エコカー総選挙
【第3特集】防災グッズ選びの新常識

日経トレンディ 日経トレンディ 10月号
9月3日発売
定価:550円(税込み)
発 行:日経BP社

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