東レは9日、炭素繊維を車体に使った電気自動車(EV)の試作車を発表した。F1カーの元設計者を起用し、3億円の製作費をかけた。鉄より軽くて強いとされる炭素繊維を自動車業界で普及させるためのシンボルにする。
炭素繊維を骨格や座席、外板などに使い、車体の重さを従来のEVに比べ3分の2程度に抑えた。2人乗りのオープンカーで、最高速度が時速147キロ、充電1回で185キロ走る。F1カーのデザイナーだった英国人ゴードン・マレー氏に設計や製作を頼んだ。
東レは2015年以降、炭素繊維の自動車業界への本格供給をめざす。価格の高さが難点とされるが、鉄なら複数にわたる部品を、炭素繊維は一体で成型できるため、車全体の製造費は抑えられるとみる。記者会見で田中千秋副社長は「高級車でなく普通車への供給をめざす」と語った。