自動車業界団体が1日まとめた10月の軽自動車を含む新車販売台数(速報値)は前年同月比25.2%増の38万1114台となった。14カ月ぶりに増加に転じた。東日本大震災による供給不足で前年を下回っていた販売も増加基調に入った。回復が遅れていた軽自動車が19.9%増と13カ月ぶりに前年同月を上回った。ただ、タイの洪水の余波で国内生産に支障が出始めており、市場の回復に水を差す可能性もある。
日本自動車販売協会連合会(自販連)の調べでは10月の排気量660cc超の「登録車」の新車販売台数は28.3%増の24万7927台と自動車各社が急ピッチの増産で供給量を増やした結果、前月に続き順調に回復した。「ピークは過ぎたが受注残は昨年の倍以上あり、依然高水準」(トヨタ自動車系ディーラー)という。全ブランドで前年同月を上回ったほか、14カ月ぶりにトラック、バスも含め全車種でプラスとなった。
トヨタが20.4%増となったほか、ホンダが19.5%増と好調だった。前年はエコカー補助金が直前の9月に終了した反動で過去最低だったため伸び幅が大きく出た。
登録車に比べ販売の回復が遅れていた軽自動車でも有力な新製品の登場が市場を活性化させた。全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が同日まとめたブランド別の軽自動車の販売台数ではダイハツが29.9%増の5万2148台と大幅に伸ばした。9月に発売したハイブリッド車並みの低燃費車「ミライース」が寄与した。発売後2週間で約2万5000台という過去最高の受注ペースを記録している。
ただ、市場が勢いを持続できるかは不透明だ。タイの洪水でトヨタ、ホンダ、三菱自動車などでタイで生産する部品の供給が止まり、国内生産に影響が出始めている。タイでの生産停止が長期化するようだと震災時のように供給不足で販売が再び落ち込む可能性も否定できない。