ホンダは27日、外部に電力を供給できる燃料電池車を開発したと発表した。一般家庭の6日分の電力を賄えるという。埼玉県に納入するとともに、同県庁内に燃料の水素を供給する「水素ステーション」を設置した。2015年の本格発売に向けて開発を加速する。
リース販売している燃料電池車「FCXクラリティ」の一部を改良。トランクに電力を変換するインバーター装置を搭載した。燃料タンクの水素から電気を起こし、最大で9キロワットの電力を連続で7時間以上供給できる。これは一般家庭で使う6日分の電力に相当するという。
東日本大震災では被災地で電力が不足し、非常用電源としてエコカーからの給電機能が注目された。現在は電気自動車(EV)に給電機能を搭載する動きがあるが、供給能力は1~2日分にとどまっている。発電機能を持つ燃料電池車はより多くの電力を供給できる。
埼玉県庁に設置した水素ステーションは太陽電池で起こした電力を使い、24時間で水から1.5キログラムの水素を製造できる。3~4分でFCXクラリティの燃料タンクに充填でき、約150キロメートル走行できるという。