ホンダは17日、ハイブリッド車(HV)のニッケル水素電池に含まれるレアアース(希土類)を再利用する技術を確立したと発表した。金属材料を手がける日本重化学工業(東京・中央)とこのほど開発し、今月下旬に同社の工場に導入する。量産工程に導入するのは世界で初めてという。希土類の産出国の中国が資源囲い込みに動く中、再利用を進め、調達リスクを減らす。
再利用することに成功したのはミッシュメタルと呼ばれる希土類の混合物で、ニッケル水素電池の負極材料に使われる。電池を解体した後、高温で焼成し粉砕、溶融して希土類を抽出する。鉱山から採掘、精製する希土類と同等の純度という。
ホンダは販売店を通じ、使用済みのHV用ニッケル水素電池を回収している。回収した電池を日本重化学工業の小国事業所(山形県小国町)に運び、同事業所で電池の解体から希土類の抽出までを手がける。希土類は電池メーカーなどに供給して車載用電池などとして再利用される。
HVに搭載するニッケル水素電池は約20キログラムで、そのうち希土類は数キログラムを占める。従来は電池から希土類を取り出すことができず、ホンダは回収した電池をステンレスの原料として再利用していた。新たに開発した方法では電池に含まれる希土類を80%以上回収できるという。
HV用電池は5~10年で消耗し、回収される。ホンダは1999年にHVを発売。これまでに国内外で80万台以上を販売し、そのうち50万台を2009年から11年に販売した。10年度に国内で回収したHV用電池は1034個で、今後、大幅に増えると見ている。
同様の方法でミッシュメタル以外のレアアースも再利用することが可能という。HVなどのモーターの永久磁石に使われるネオジムやジスプロシウムへの応用も今後、検討するが、現状ではモーターを回収する仕組みがないため難しいという。
HV用電池に含まれるニッケルについては、トヨタ自動車が住友金属鉱山などと組み、ステンレスの原料として再利用する事業に取り組んでいる。希土類を抽出し、電池材料として再利用するのに成功したのはホンダなどが初めてという。